大井平そばについて

大井平そばとは?

津南町(つなんまち)は新潟県と長野県の県境に位置する、人口9000人程度の小さな町です。
信濃川が悠々と流れ、冬にはたくさんの雪が降り、豊かな自然がおいしいお米や野菜をはぐくみます。
「魚沼産コシヒカリ」が全国に名を知られる名産品ですが、それと同時に良質なソバの産地でもあります。

当店の名前にある大井平(おおいだいら)は
当店のある集落の名前です。

以前よりこの大井平では、ほとんどの住民が
そばをうつことができたといいます。
祭りや行事の際には、自分の家の蕎麦を
ふるまうという習慣がありました。
そばの作り方は各家庭で代々伝えられてきたもので、
特に”つなぎ”に関してはこの地域独特のものです。

昔からこの地域で作られるそばは、自家製そば粉につなぎとして
やまごぼう(オヤマボクチ)の葉」と「フノリ」を用いた、こしのある麺が特徴です。
祭りやお祝い事のある日には欠かせない「ごっつぉ(ごちそう)」として
それぞれの家庭で作られるそばでした。
しかしながら、最近は打つことのできる人も少なくなっています。
「ほかの地域にはみられない特別なそばを、少しでも多くの人に召し上がっていただきたい」
という思いで、初代がお店を始めました。

特徴的な”つなぎ”

つなぎには、地元の人が「やまごぼう」と呼んでいる植物の繊維を使います。
「やまごぼう」は”葉がごぼうの葉に似ている”ことからきた呼び名であり、正式には「オヤマボクチ」という植物です。
夏の盛りに採取した葉を手作業で処理し、葉の裏についている繊維だけを取り出します。

これを下の「フノリ」と合わせて煮たものをつなぎにするのが、大井平集落に昔から伝わる方法です。
長野県北部のそばに使われることが多いといいます。
処理に大変な時間と手間がかかりますが、他では味わえない歯ごたえのそばができます。

フノリ」は海藻の一種です。

新潟県十日町~小千谷地域のへぎそばにも使われています。
一説には、もともとは織物を織る際の糊として使われていたものが、次第にそばのつなぎにも利用されるようになったよそうです。
織物が盛んだった地域に特有のつなぎかもしれません。

つるつるとしたのど越しにはこの「フノリ」の配合がとても重要になります。

これらの2種類のつなぎを混ぜ合わせて使うのは長野県栄村~新潟県津南町の周辺に限られているようで、
本当に他では味わえないそば」としてご好評をいただいております。
手打ちであることに加え、つなぎの準備にも大変時間がかかり一日にたくさん作ることはできませんが、
地域伝統の味・製法で打つそばにこだわっています。

津南産のそば粉

当店で使用しているそば粉は、すべて店内の製粉機にて随時自家製粉しています。

そばの実は自家栽培したもの、もしくは津南町でとれたものを使用しております。
標高約300mほどの地点で育ったそばは、大変豊かな風味を感じられます。

新そばについて

津南町で生産されるそばは、一般的に”秋そば”とよばれる、秋に収穫を行う品種です。
例年、稲刈り作業が終わってからそばの収穫が行われるため、新そばのご提供は11月ごろになります。